歩きたいKさんの話
以前、デイサービス(リハビリ型)でパート勤務をしておりました。
リハビリといっても大袈裟なものではなく高齢者が簡単なマシントレーニングと体操や歩行訓練を行う施設です。(こういった施設が「リハビリ」を名乗っていいのかはとりあえず置いておいて下さい。)
そこで80台半ばの女性のKさんと出会いました。
転倒し、右側の人工股関節の手術の後、病院でのリハビリを道半ばで中止し、退院しました。環境が苦痛だったのか、どうしても自宅へ戻りたいと主張し、退院してから頑張れば良いかとご主人(90代)が判断して退院となったそうです。
退院後は痛みが残り、自立歩行が難しい状態で、自宅では手すりをつたって何とか自力で移動し、ご主人に手伝ってもらいながら食事を作り、外出時は車椅子を利用し、ご主人に押してもらいます。
ご主人は「退院させたのはオレだから。」と言って懸命にKさんのサポートをしているようです。
Kさんはデイに週二回通ってましたが、来てもかなり消極的。声をかければ動き出して下さるのですが、嫌いな運動を指示されると、この世の終わりが来たような、かなりイヤそうな表情です。
デイの中での移動はスタッフが必ず一人つき、両手引き歩行介助です。
所長(オーナー所長です)に状態についてきいてみると、「あの人はもう、脚は問題ない。やる気を出さない本人の精神的な問題。脚は上がるのだから、あとはやればいいの。」
新参者の私は所長の指示に盲目的に従う以外の選択肢はありません。とりあえず、所長の言う事が正しいと仮定し、Kさんの相手をしてみることにしました。
(続く)
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